マンションの修繕積立金の適正な金額とは?
分譲マンションを建設する場合、修繕積立金の金額設定については特に決まりがありません。
分譲マンションという形態が生まれてから長い間修繕積立金を管理費の10%の設定で販売することが普通
に行われてきた結果、修繕が必要な時期に管理組合の蓄えが全く無いというマンションが多数出現しました。
結果、修繕に必要な費用を「一時金」として徴収し修繕を実施したマンションもありますが、多くの場合は一
時金を徴収することが困難で修繕作業が放置されました。
旧)住宅金融公庫が「優良分譲住宅」の制度の中で積立金の月額を6,000円以上に設定するようにした事で
具体的な数値が示されましたが、戸数・設備内容によって修繕費用はかなりの開きがあり、その後、長期の
修繕計画(案)を提示してマンションが販売されるようになりました。
最近では、H23年4月に「マンションの積立金に関するガイドライン」が国土交通省から提示されています。
ガイドラインでは15階未満で建築延床面積5,000㎡未満のマンションにおいて、部屋面積1㎡当りの修繕積立
金の平均は218円で、ガイドラインの資料となった事例の2/3が含まれる範囲として165円/㎡~250円/㎡と
いう金額になっています。70㎡の部屋を所有している場合、月額11,550円~17,500円の積立金が目安となる
ようです。
新築の分譲マンションにおいてこの金額を超える設定がなされている物件は稀であり、修繕積立金が値上さ
れていかなければ大規模改修工事を一時金の徴収ナシで進めることはほとんど不可能です。
※駐車場使用料を修繕積立金として特別会計に収納すべき、との考えもありますが、九州においては、多く
のマンションで駐車場使用料は一般会計の収入とされ、日常管理の費用として支出されています。
10年目で第一回目の大規模改修工事(設備の工事を除く修繕)を実施するには1世帯平均80万円程度の
金額が必要、といわれてきましたが、ガイドラインの数字はこの1.5倍程度になっています。
できるだけ早くに管理組合全体として数値目標を設定し、修繕積立金を貯めて行く事が必要です。
実際の工事については修繕計画案の内容をそのまま実施することはあまりありません。詳細の建物診断調
査を実施することにより「建物の状況をしっかり把握し、明確なかたちで工事実施する」事が大切です。